江戸の敵を長崎で討つ

学生時代、教師に嫌われることが多かったけれども、中3の時の担任の野町はその筆頭と言えるのかもしれない。今更だが憂さ晴らしに彼の言っていたことに反論してみたいと思う。


野町は国語教師だが何かの時に


日本語の『ラ行』は舌を口蓋につけるからローマ字で『R』で表記するのはおかしいのではないか。『L』の方がよいのではないか。また『バ行』は唇を閉じて発音するのだから『ハ行』に濁点を打つのではなくむしろ『マ行』に濁点であるべきではないか。


というようなことを言っていた。
当時から発音にはなんとなく興味があったのでなるほどそうかなと思いつつも特に『ラ行』に関してはやや釈然としない気持ちも残っていたのだが、今の私の考えを述べよう。


まず日本語の『ラ行』は英語の『R』とも『L』とも違うのだから近似的なもので代用するのは仕方がない。私の耳には『T』を軽く発音した時が一番『ラ行』に近く感じる。そして『R』という発音は英語では舌を丸めてやや奥に持っていき口蓋にはつけずに発音するわけだが他の言語では『は行』に近かったり巻き舌になったりすることもあるわけだから英語と同じ発音でないからといっておかしいということにはならない。


次に『バ行』に関してであるが、まずもともと日本語の『ハ行』は『P』→『Φ(ふぁふぃふふぇふぉ)』→『H』と変化したので歴史的に正しいと言える。またそうでなくても実際『ハ行』の単語が濁音化した時『バ行』になるのだからそのように表記しないと整合性が保てない。もちろん『ハ行』が濁音化すると『バ行』になるのはその『P』→『Φ』→『H』の変化が起ったためであるので両者は同じことを言っているのだが。