漢詩習作5

捧山陰之麒麟



英雄颯爽在山陰
四海乾坤戞玉音
雖已陣亡名不朽
思君我可泣弾琴

英雄颯爽と山陰に在り
四海乾坤戞玉の音
已に陣亡すと雖も名は朽ちず
君を思ひ我泣きて琴を弾ず可し


疾駆姿態是麒麟
射箭古今無比人
不遇時而川側斃
惜哉未見太平春

疾駆の姿態是れ麒麟
箭を射るに古今無比の人
時に遇はず川側に斃る
惜しい哉未だ太平の春を見ず



惜夏往

初雁送風安静過
暮蝉寄語久長残
嗚呼此夏今将罷
暑気猶厳却意寒

初雁風を送りて安静に過ぐ
暮蝉語を寄せて久長に残る
嗚呼此の夏今将に罷まんとす
暑気猶厳にして却って意寒し


惜夏去

台風早到入瀛洲
吹殺燃雲迎小秋
清夏昊天焉復去
吾人忙裏未船遊

台風早く到りて瀛洲に入る
燃雲を吹殺して小秋を迎ふ
清夏昊天焉んぞ復た去らん
吾人忙裏にて未だ船に遊ばず


梅雨書懐

暁来梅雨作幽襟
日漸西傾愁不禁
新也敢無閑獨坐
來來走走與朋斟

暁来たりてより梅雨幽襟を作す
日漸く西に傾きて愁に禁へず
新也敢へて閑かに獨坐すること無かれ
來來走走朋と斟まん

朝醒梅雨作幽襟
日漸西傾愁不禁
新也敢無閑獨坐
來來走走與朋斟

朝醒むれば梅雨幽襟を作す
日漸く西に傾きて愁に禁へず
新也敢へて閑かに獨坐すること無かれ
來來走走朋と斟まん