漢詩習作3

晦日に初雪とて

初雪を待てばいつしか詠み納め

冬立つとたれか言ひけむしろたへの雪降らざるになどか知りけむ

今は吉野山にさほど降らずと聞くに
いにしへの人のことのはつもればや吉野と聞けば今さへ寒き

待雪吟詩

晚來初雪此瀛洲
自聞入冬似萬秋
何則待望吟詠尽
詩魂随意四方遊

晩く来たる初雪此こ瀛洲
冬に入ると聞く自り萬秋に似る
何となれば則ち吟詠し尽すを待望すればなり
詩魂は随意に四方に遊ぶ


年末人の里に帰る多きに東京にて

閑邑歳末

北風侵八島
四顧不聞聲
夜寂琴音好
晨光爽気生

北風八島を侵す
四顧すれば声を聞かず
昨寂琴の音好し
晨光爽気生ず