匂いと他者性

一日働いて帰った後の靴下の臭いをつい嗅いでしまうというのは非常に人間的な行為だ。自分の屁は臭くないといわれるように自分由来の匂いというのは非常にナルシスティックな傾向と結びついている。

では便はどうか。ゲロはどうか。と自問するに、他人のよりはずっと増しだがとても嗅いで陶酔などしていられない。

目を転じて、垢、フケ、目くそ鼻くそなどはどうだろう。ものすごい青っ洟をかんで『うっわ、すっげ』って感じで見ることはあるかもしれないがそれは単純に好奇心でやはりそれを見て陶酔することはない。

これらを要するに垢、フケなどは他者の始まりであり不潔と感じるが、足の臭いや屁の臭いなどは実体がなく、あくまで自分由来のものであるためまだ他者化されていないのではないか。

便ゲロに話を戻すとやはり一度便は他者となったものでありその他者の匂いはやはり臭いのであろう。