夢現

ある夜、男は公園を歩いていた。木々の隙間から中世ヨーロッパの城郭が覗いた。男はそこへ言ってみようと思った。最初に現れるのはどんな化け物だ。
男ががっかりしたのは現れたのが人間だったからだ。ところがこいつ、ただの人間ではなかったよ。亡者だ。男は努めて無視をした。暫く行くと小川が見えた。本来男は神経質で、靴が水にぬれるのを厭うたが、この冒険にその気質は邪魔なこともあるのだ。(つまり必要なこともある。)
男は不必要なまでに流れに靴をさらした
この心を理解せぬものに、ここから先のはない。男は狂っていない。絶望している。男は頭がいい。城なんてないのさ。